楽しもう、そう思えた。(12)

ブログ画像レース前日までは、不思議なくらい緊張はありませんでした。
いつも通り朝のトレーニングをして、仕事をして、一日を終えました。

最終調整として、レース数日前からは無理な練習はせず、心拍を抑えた2kmほどの軽いジョギングだけ。フォームを確認しながら、「怪我をしないこと」を一番大切に過ごしました。

ところが、当日の朝になると少しだけ緊張が芽生えました。
その理由は、暑さです。
「この暑さの中、本当に最後まで走れるだろうか」
そんな不安が頭をよぎりました。

今回の目標は、完走すること。
そして何より、無理をしないこと。
ペースを守ること。
こまめに水分とジェルを補給すること。
この4つだけは必ず守ろうと決めていました。

会場へ着くと、その暑さにもかかわらず、多くのランナーが集まっていました。
真剣な表情でアップをしている人。
仲間と笑顔で話しながらイベントを楽しんでいる人。
それぞれが、それぞれの目標を胸にスタートを待っていました。

午後6時。
まだ明るさの残る豊洲で、一斉にスタートしました。
体調は悪くありません。
心拍数も150以下で安定し、フォームも大きく乱れることはありませんでした。
周りの景色を見る余裕もあります。

その時、自然と心に浮かんだ言葉があります。
「楽しもう」
タイムを追いかけるのではなく、この時間そのものを楽しもう。
そんな気持ちで走っていました。

10kmを過ぎた頃から、少しずつ状況が変わってきました。
ペーサーがいなくなり、ペースを自分で作らなければなりません。
汗でウェアはびっしょり。
心拍数も158前後まで上がってきました。
すると今度は、大腿二頭筋の膝に近い辺りに少し張りを感じ始めました。
そこでストライドを少し短くし、蹴り出しを少し大きくすることで、ハムストリングスが伸びるようフォームを調整しました。

「心拍数が160を超えなければ大丈夫」
そう自分に言い聞かせながら、ペースを守って走り続けました。

やがて日が暮れ、東京の夜景が目の前に広がりました。
その景色を眺めながら、ふと思いました。
健康だから走れる。
汗を流しながら運動できる。
そんな当たり前のことが、とても幸せに感じられたのです。
50代半ばになって、こんな気持ちになれるとは思っていませんでした。

ゴールは、もうすぐそこです。
最後までペースを守り、自分らしい走りを貫けるのか。